【こびとのにちじょう劇場】「星屑のねがいごと」(後編)
「星屑のねがいごと」(後編)
日が落ち、辺りが暗くなってくる。
ティナ「あれ?チオ、何か光ってない?」
チオ「ん?」
ランドセルが光り始めた。そしてどこからともなく声が。
?「良くぞランドセルを拾ってくれた。開くがいい」
チオ「ランドセルが喋ってる?」
ランドセルを開けると何かが飛び出してきた。
星屑の精「わたしは星屑の精。見つけてくれたお礼に、願いをひとつ叶えよう」
チオ「願い?」
星屑の精「ああ、何でも良い。君は恩人だ」
チオは考え、何かを思いついた。
チオ「あのね…」
チオ「チオは、皆を笑顔にしたい!」
星屑の精「ほう」
チオ「皆が楽しいとチオも嬉しい」
星屑の精「ほう」
星屑の精は考えこみ口を開いた。
星屑の精「では、こびと族の者たちに“小さな幸せを感じる”魔法をかけよう。残念ながらわたしは万能ではない。出来る事はこのくらいだ」
星屑の精はそう言って、光を放ちながら飛んで行った。
ティナ「チオ、さっきのキラキラしてたの、何?凄く綺麗だった!」
チオ「ええと…、どう話せばいいんだろ…」
チオが困っていると、周りから声が。
こびとの誰か「花火が始まるぞー!」
花火の音が響く。
チオ「おっきいー!」
トルトル・ミコル「た〜まや〜!」
ティナ「今年も綺麗ね〜!」
今年の花火はいつもに増してキラキラと鮮やかで、こびとたちの記憶に焼き付くのだった。
花火も終わり。 トルトルとティナと別れ、家に向かうチオとミコル。 辺りはもう真っ暗で、月や星々が道を照らす。
ミコル「ねえ、チオ」
チオ「何?」
チオが振り向く。
ミコル「星屑の精にしてたお願いごと、聞こえたわよ」
チオ「うん」
ミコル「チオのそういう所、私は好きよ」
チオ「チオも、ミコルのこと好きだよ。いつも困ってる時に助けてくれてありがとう」
ミコルは驚いた顔をし、そして笑う。
ミコル「優しいわね」
チオは一瞬、ミコルの笑顔が輝いた気がした。 星が瞬いている。こびとたちのキラキラとした夜は過ぎていく。
完
お読みいただき、ありがとうございました!
6月に書いて花火シーズンにまとめられればいいか、と思っていましたが、気付いたらお盆で時の流れって早いなと思いました(^ ^;
今年も花火をなかなか見られない状況ですが、早く以前のようなイベントを楽しめる状況になるといいですね。
描いたはいいものの、データ化が滞っている作品がいくつか。
マイペースに更新しますね~。